実践ガイド
2026年10月2日公開・更新
クリニックDXの進め方
失敗を減らす5ステップ
最初から全業務を変える必要はありません。一つの課題を選び、小さく試し、導入前と同じ数字で効果を確かめることが現実的な進め方です。
THE FIVE-STEP PATH
把握する。絞る。確かめる。
試す。測る。
ツール選定から始めない
厚生労働省の外来DX事例では、現状把握、現場との合意、サービス比較、リハーサル、段階導入、効果の収集という流れが示されています。以下の5ステップは、その考え方を無床診療所で実行しやすい形に整理したものです。
PRACTICAL STEPS
5ステップの実行内容
STEP 1
現在の業務を見える化する
受付から会計まで、実際の流れを職種横断で確認します。
- 電話・紙・転記・確認作業を書き出す
- 通常時だけでなく例外対応も記録する
- 件数と所要時間を導入前の基準値にする
STEP 2
一つの課題に絞る
すべてを一度に変えず、最も負担の大きい工程を選びます。
- 発生回数と作業時間
- 確認漏れや情報漏えいのリスク
- 患者への影響と現場の受け入れやすさ
STEP 3
サービスと安全性を確認する
機能表だけでなく、導入後の運用と責任範囲を比べます。
- 電子カルテ・レセコン等との連携範囲
- 権限、委託先、データの保管と取扱い
- 障害時の代替手順、支援窓口、総費用
STEP 4
小さく試す
一部の時間帯や対象から始め、通常業務を止めずに検証します。
- 利用する条件と対象外の条件を決める
- 人へ引き継ぐ基準と問い合わせ先を明確にする
- 紙・電話・手作業へ戻す手順を残す
STEP 5
同じ数字で効果を測る
導入前と同じ指標で比べ、継続・修正・中止を判断します。
- 電話件数、転記回数、所要時間
- 入力漏れ、差し戻し、患者待ち時間
- 職員と患者が感じる負担
導入判断を止める条件も決める
安全性を確認できない、現場の作業が増える、障害時の代替手順がない、既存システムとの役割分担が曖昧。このいずれかが残る場合は、契約や対象拡大を急がず、条件を整理し直します。
最初の実験シート
- 対象業務
- 例:午前中の予約変更電話
- 現在の数字
- 1日あたりの件数、合計時間、中断回数
- 変更内容
- 例:Web受付を一部の患者に案内
- 試行範囲
- 対象者、期間、担当者、対象外の条件
- 判断基準
- 継続・修正・中止を決める数字
出典
- 厚生労働省|看護業務効率化先進事例収集・周知事業(PDF)
- 厚生労働省|医療DXについて
- 厚生労働省|医療情報システムの安全管理に関するガイドライン
- デジタル庁|医療機関等の業務効率化に資するサービス
- 日医総研|診療所におけるICT活用・セキュリティに関する調査
本記事は公開事例を診療所向けに再構成した実務ガイドです。5ステップは法令上の必須順序ではありません。個別の医療判断、法令解釈、特定製品の推奨を目的とするものではありません。
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